シンガーソングライター(2)

秋山羊子さんからの手紙 

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シンガーソングライターの秋山羊子さんから葉書が来た。彼女は封書や葉書でDMを送ってくれる。ライブにしばらく行かないとDMが止んでしまうミュージシャンが多いけれど、秋山さんはずーっと私に手紙を送ってくれるし誕生日に手紙をくれる。

私のことを覚えていてくれているだろうか?

もう何年も前のことなんだけど、池袋の鈴ん子屋でライブを観て、彼女からのフィードバックが強すぎてこころを保てなくなって離れてしまった。それからCDもちゃんと買ってなくて、ごめんなさい。あの頃の秋山さんは痩せていて小さくて、演奏は狂気にあふれたインプロヴィゼーションだった。だけどCDの音源は凛として優しくて、芯のとおった、怖くない主張で。私が少なくとも間違い無く彼女について知っているのは「心を持っている」ということ。

そんな秋山さんが3年前36kgだったけど、今は49kgなって、元気になったそうだ。

私もあの時より元気だろうか?

会いに行ければなあと思う。春だし。

 


秋山羊子+内橋和久「もう一度僕らは」

秋山羊子+梅津和時「コロッケパン」

指一本で倒されるだろう

指一本で倒されるだろう

指一本で倒されるだろう - 秋山羊子 Yubiippon De Taosarerudarou - 秋山羊子

 

 

シンガーソングライターじゃないけど 

車の中で大声で歌っていたら色々思って泣いてしまった歌がある。

ZARDの「LOVE 〜眠れずに君の横顔をずっと見ていた〜」。TODAY IS ANOTHER DAYというアルバムに入っている、Barbier(栗林誠一郎さん)への詞提供のセルフカバー。(ちなみにこのアルバムは、FIELD OF VIEWの大ヒットソング3曲のセルフカバーも収録。「突然」や「DAN DAN 心魅かれてく」の坂井泉水バージョン!贅沢です)



明日も一日謙虚を装って 他人(ひと)に調子を合わせ
「バランスがいい」と褒められては自分を見失う
景気のいい話ばかり求め 好成績を上げたとしても
用が終われば捨てられる ボロボロのダンボー

この歌い出しが…なんて気持ちになってこんな歌詞を書いたんだろうと、なんでか坂井泉水のことを思って泣きたくなるし、この歌がうたわれて10年も経っても状況好転せずしてダンボール化しつつある疲弊した自分や世間。彼女が急逝してもう5年以上も経っててね。いま、ZARDほどみんなの心に寄り添って一緒に走ってくれてる音楽家はいるかなあ?私は、ZARDの活躍期に傾倒してたわけじゃないんだけど、それでも励まされているからね。

90年代の音楽の不思議な魔力について思う1曲です。ちなみにこのおもちゃ箱的ガヤガヤなアレンジ、1番と2番で転調して違う雰囲気で2番が進んでいくところがテクニック的にもかっこいいです。さらにその後のベストアルバムだとリアレンジ版が収録されていて、私の大好きな”原曲破壊”も楽しめます。ZARDってほんとZARDっぽい曲をつくるんだけど、音楽的振れ幅を感じられる楽しい曲でもあります。

シンガーソングライター(1)

坂本真綾ツアーミツバチの最終公演、カウントダウンライブの熱狂を通過して、演者の捌けたステージの上に新アルバムの発売と春のツアーの告知が流れたとき、ライブの熱でショート気味だった私の回路はしんと平熱を取り戻した。

シンガーソングライター かぁ

シンガーソングライター【初回限定盤】

シンガーソングライター【初回限定盤】

 坂本真綾、初の全作詞曲。一部ではコーラス編曲も!いままでにリリース済の自作曲2曲(everywhere、誓い)に新曲8曲を加えた全10曲。編曲陣としては、河野伸(Driving in the silenceプロデュースやライブバンマスなどで活躍)・渡辺善太郎(真綾お気に入りの”カザミドリ"編曲他)が参加…と。

 

「シンガーソングライター」ってタイトルって、大きく出たなあと私は思ったんですね。世の中にそういう職業看板引っさげて生きている人がそれなりにいて、そこに新規参入していくイメージですよね。すでに歌手として大きな実績があって、でもそのなかの”自作率”ってたしかにそこまで高くなかった。ここ数年、自分で制作(デモを聞いて、選んで。または、曲を外に発注したり)をしていったなかで、作りたい・作ろうっていう境地に至るのは極めて自然なんだけど、あーそんな「SSW」なんて大きな看板かけちゃうんだなーって。その看板に見合う作品、本当に聴かせてくれるのかなーって。

なんか冷静になっちゃって。嬉しかったんだけど、ぐっと距離はかりました。全部なにもかも真綾だから100%ラブ、なんてありえないなーって。だって私、音楽が好きだもん。真綾じゃなくて、音楽が好きだもん。

 

好きな音楽が、シンガーソングライターの身からこぼれ落ちたドモホルンリンクルであればこそ、個と個の対峙みたいになって、底まで潜って同化する。

だからこの3月のリリースっていうのは、信じられないくらい真綾ともういちど出会って没入するチャンスになるか、もしかしたらそうでなくて距離をおく結果になるか、そういう博打の要素のある転換点になる気がしている。

 

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女性シンガーソングライターといえば、彼女、という話をしたいと思う。

著名な人でぱっと思い浮かべると、ユーミン、矢野顕子、竹内まりや、中島みゆき、ミドルで坂本美雨、若い子だとYUIとかmiwaを思い浮かべる。

シンガーソングライターと聞き手のマッチングというのは完全に相性になると思う。特に女性は自身の性格や主張や経験が色濃く反映されてくるイメージがある。まあユーミンなんかはショートショート読んだみたいなすっきり通過していく曲もあるんだけど、SSWの魅力は「この曲はどんな材料をごった煮したんですか!白雪姫の毒りんごですか!!」みたいな取り憑かれるような曲に出逢えるってところにあると思う。

 

そこで完全に個人の趣味に成りますが、私は取り憑かれましたただしあなたが取り憑かれるかは知りません保証しません、でもいい曲ですよ。というのを紹介して、私のmusic shelfがどんだけSSWに占拠されてきたかを今更語ってみようと思う。

そして同時にこれからSSWとしてのキャリアを本格的に積むらしい坂本真綾氏に対し、「いままで自分が歌ってきた音楽を似せるだけでは看板倒れになってしまうのよ。自分自身から搾り出した曲を期待していますよ」という思いを表明したいです。

 

遠藤響子 "一人が好き" from 月の光 〜Clair de Lune〜

月の光 ~Clair de Lune~

月の光 ~Clair de Lune~

 2年と少し前に菅野よう子さんが出るってんでのこのこ付いていったらライブで拝見した遠藤響子さんの女性目線には本当に撃ちぬかれました。他にも「バカみたい」「ありがとうが言えない」「誰だって魔法が好き」などタイトルだけで取り憑かれてしまう曲が沢山ある。 菅野よう子小倉博和山木秀夫など名だたるサポートを立てられるだけのキャリアもさることながら、「深い海みたいな愛情の海」の村田陽一さんのTb.は卒倒する。自分の”女性”がこれからどこに行ってしまうのか不安になるくらいの強烈な音楽。

 

川村結花 "朝焼けの歌"

Yuka Kawamura Best”Works”

Yuka Kawamura Best”Works”

 

川村結花好きといって、実は近しい人から何度か否定されたことがあって、ぬああ、と思っていたのですが、まあやっぱり戻ってきたら好きだし体型にあった椅子のような音楽だと思う今日この頃。

近年は自身のリリース活動よりも楽曲提供を中心に活動されていて、まぁそもそも世間的には「夜空ノムコウ」の作曲者なのでSSWという認知よりは作曲家なのかもしれませんが、なぜか近作でも補作詞を積極的にされていて、つまりデモの段階で多少歌詞ついた状態で売り込んでいるのかな…wとか余計な詮索をしつつ…。ちょうど1年前にライブを拝見したとき、しゃべるように呼吸するように簡単に弾いて、生きるようにまるで難しく歌う姿がかつてと変わらず、やっぱり女性SSWなんだとしみじみ感じました。もともと大阪のおばちゃんみたいな人でしたが、いぶし銀です。まじで。

貼った動画は以前も紹介した気がしないでもない、chemistry堂珍きゅんとのデュエットです。ピアノ一本シリーズなので音数が少ないが、曲調も暗い!最終的に救われるのか、救われないのか、ぎりぎりのコード進行・メロディラインなのがたまらないです。ファンモンの「あとひとつ」の作曲者でもあります。

 

つるうちはな "YOU"

つるうちはな

つるうちはな

私の中ではヤングSSWカテゴリーに入ってくるのですが、昨年12月にU sus Uのライブ観に行ったときに対バンで彼女が歌っていまして、これも撃ちぬかれました。生命体としておよそ歌とピアノ弾きで出来上がっており、楽曲が命の切り分けそのものであるなあと思わせる人でした。「でれんのサマソニ?!」からのし上がってサマソニ出演&受賞歴もあるとのことで、これからの活躍がとても楽しみであります。

先に紹介した遠藤響子川村結花がすでに成熟した大人の女性で、すでに得た経験や結論をもとに自世界を構築しているように感じるのに対し、若いつるうちさんは”現在進行形で煮込み中であって色はその時々によって様々”と思わせる、はかなさ、というとちょっと違うんだろうけど、とにかくパンクなんだけどうつろいやすい、気まぐれなところが芸術として嫌味なく昇華されているところに高い価値があると思うのです。

 

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また同じような紹介をやりたいなあと思いますが、いまはCoccoの「カウントダウン」を聞きながら書いております。彼女もれっきとしたシンガーソングライター。楽譜読めずともインディー盤で「SING A SONG - No Music, No life」を産み出し、「カウントダウン」と「遺書。」なる問題作で鮮烈メジャーデビューです。あの頃は私ラジオっこでして、NHK-FMミュージックスクエアを毎日聞いていましたが、初めて聴いたとき卒倒したのを昨日のように覚えてます。当時は小室ファミリーとバンドブームが爆売れ音楽界を2分しており、その下にロキノン厨御用達バンドなどなどが居た流れですからね。今思ってもとんでもない話だな、冒険し過ぎだな、自分がレーベル責任者だったら全然GOサインだす勇気ないな、と。まあこっこは、ちゃんと売れましたけどね、時流だよなーと思います。

Cocco椎名林檎SHUUBI、都築恵理、はやしいと松崎ナオ、より子、白鳥マイカ、秋山羊子…(たぶん認知順)

秋山羊子さんは自分へのフィードバックがきつくてしばらく聴けなくなっちゃって、その間アルバムが2枚も出ているんだけど、いつか買わないと完売してしまうぞー!と自分に言い聞かせている。

12月のライブから その2 〜 常盤ゆう祭り+U sus U

■12/9 常盤ゆう祭2012@北沢タウンホール

トルネード竜巻のアルバム「ふれるときこえ」近辺でコーラスに参加されていた”坂東マブチ”さん。それはバンド you&me together、通称「ゆーみん」のボーカル。トル竜のナカさんと仲良しで、いろんなユニット、とりわけいまは、ぱいなっぷるくらぶ(http://www.pineapple-club.com/)でかわいく歌って踊っている。
そういうふうに思っていたら、突然、「常盤ゆう」になった。常盤ゆう?って誰?それはバンド、risetteのボーカリストであり、有名音ゲーBEMANIやPop'n musicでたくさん歌唱している人気歌手!
えっ!えっ?!

と思っていたら、なんと常盤ゆうさんが自分をフィーチャーして、ゆーみん、ぱいなっぷるくらぶ、risette、常盤ゆうの4マンライブをやるという。えっえっ、全部自分じゃん\(^o^)/

ということで当日券を買って行ってきた!会場は、わたくし的「坂東マブチ周辺」な音楽家の方々以外、音ゲーファンに包まれていて、常盤ゆうという人をいかに知らなかったかを思い知らされた。ライブの最後に、音ゲー作家のwacさんが現れて雰囲気破壊しながらしゃべくり倒して演奏したときの会場の熱気たるやものすごかった。というか、wacさんのライブでNHKホールに立ったことがあると仰っていて、えええmjd?!と驚いた。
ていうか常盤ゆうさん大学いっしょの先輩でした。わああ、と驚いた。

ここまで音楽についてとくに語っていませんが。自分にとって常盤ゆうさんが何って言うのがわからない。その声と同じくすごくエアリーで、感想を抱かせるまもなく、すう〜っと通り抜けていく。心に残渣が残らないことを気にかけることもない。たぶん私は彼女の熱狂的なファンじゃなくて、これからもそういう距離感で聞いていくんだけど、常盤ゆうが清涼していく空気は私の生活にやっぱりとっても大事なものであり、ぱいなっぷるくらぶで照れながらもあんな踊りこんな踊りこんな言葉を歌う彼女をとびっきりかわいいと思うの。

ぱいなっぷるくらぶは個人的にはPerfumeと戦えると思っているくらい最高にキュートな30代アイドルRAP-POPで最高なんです。2012年すごく録音をしたそうなので、それが私たちの手元に届きますようにと毎日星にお願いしてる、晴れてる日には。


■12/18 U sus U(ゆうさすゆう)@渋谷gee-ge 鉄ロックフェスティバル

2012年の10大ニュースのひとつが、U sus Uの「僕をゆるして」が名曲すぎる、という事件でした。
言葉にすればするほど気持ち悪く偏愛になるし、初期衝動的blogはもう書いたので割愛しますが、12年春先にとんでもない落ち込み方をしていた私をいっぱいゆるしてくれたのです。曲も歌詞も最高なのでほんとyoutube見て欲しいです。

そのU sus Uは、ex.メカネロのドラムのUちゃんのユニットですが、バンマスをトルネード竜巻の曽我さんがやっています。僕をゆるしては、その大好きな曽我さんの作詞編曲です。曲全体を曽我さんらしさが包みこんでおります。そして、U sus Uはなんだかたくさんの人が作曲したり、演奏したりするのが特徴で、今回はステージにめいっぱいにお店を広げてて狭せまでした。
Ba.千田大介さん(from Natural Records)、Gu.堀崎翔さん(@horizakisho)、Gu.Cogoさん、Pf.幡宮くん(@KotaHatamiya)、Cho.サキちゃん(from 備前守)、それにUちゃんと曽我さんってことで、総計7名、ギターとキーボードは2名ずつという謎の豪華構成でなんかすごかったです。
おもちゃ箱ひっくり返そうとする前に決壊って感じですね。
しかも、堀崎さんはAKBで2012年に30曲も録音した猛者だし、幡宮くんの笹木ヘンドリクスはフェスいっぱい出て大ブレークの予感だし、ほんとうに「大人のプロ」まるだしなんですよ。それがせんまいステージに7人もいて本気。曽我さんに至っては12年は桑田佳祐さんのお手伝いしまくりのプロ中のプロですからね…どうしちゃったんだろ…

曽我さんがぽろろんぽろろんちゃーん、て弾いている姿に胸がいっぱいになっている間にライブは終わってしまったんですけどね。

ここまで音楽について特に語っていませんが。ちょうど1年前くらいに、曽我さんの作った清浦夏実ちゃんの「月の裏側」を大御所ドラマー宮田繁男さんが演奏しちゃたりしたよねおなじ渋谷gee-geでね、なんて思ったりした。まだ音楽について語っていませんね。

そうそう、音楽なんてほんとよくわからないんだ。空気の振動じゃん。好きか、好きじゃないか、しかない。
で、好きなの。それが答えでおしまい。


坂本真綾カウントダウンライブはいろいろ思うところがあったのでまた次回。


音楽
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音ゲーという世界がたくさんの人をぐっと掴んでいると初めて知って、常盤ゆうさん、ありがとう、というかんじです。