イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

かなり前からいろんな本屋さんで最後の1ページを読むとぶったまげるから絶対最後は見ないで読んで!ネタバレ超厳禁!!として展開されていた本。ポイントはジャンルが「ミステリ」に分類されていることかな。


どうしてかなり前から展開されていたのに今更読む気になったかと言うと、かったるい若さに任せた恋愛モノを読みたい気分になったから。いやはや実に、かったるい恋愛モノでした。
設定がバブル期の静岡〜東京とはいえ、車で海にドライブに行って帰りにラブホに寄る、とかそんな恋愛見たことも聞いたこともない(もちろんしたこともない)ので、これが当時のスタンダードなの?!それとも、今もスタンダードなの??と、目が @_@ ←こんなん なりました。


最後の1ページを読むとぶったまげるのは確かに事実で、頭の中に全力で「強く儚いものたち」が流れました。
このトリックを思いついた作者さん(乾くるみ氏)は凄いなあと思うのですが、この手法は別の物語構成でも通用する類いのものなので、どうして平凡な恋愛モノに被せたんだろう…?と不思議な気持ちにもなったり。まあ、恋愛モノだからこそ全力で「強く儚いものたち」が流れるんだけど。


そんなわけで、恋愛モノとしては甘く、辛く、かったるく、文体のリズムも決して良いものではなく、ページをめくった次の瞬間に主人公が謎の心変わりを遂げている不可解とか、いろんなつっこみどころがあるのですが、「ミステリ」としては確かに超上質!私は読み返しはしませんでしたが、買ってよかったとは思いました。★3つ。