池上彰「世界を変えた10冊の本」
こんにちは。う つ ん です。私の住んでいるドイツの某地方、今週末雪の予報だったのですがまだ何も降りません。欧州各所で雪害や低温が話題になっているんですが、私の街には◯造でも来ているんですかね…まあ寒いは寒いです。来週は最高気温-4℃とかでやばい!
さて、年が明けてから順調に読書をしております。え?前回の本は読書にカウントしないって?いーよーべつにカウントしなくていーよー。べー
教養クライシスを感じたときに
私の中の池上さん
私は池上彰氏のこと結構好きです。テレ東で選挙解説をやるようになってから、インターネット村のギーク達の間でも愛されていますよね。私は彼の、なんやかんや”俺の意図”が有りげな物言いが好きです。元NHKですから、報道の中立性についてはプロ中のプロと思いますが、池上さんのコメントに100%万歳!て従っていくとなんだか偏向してきている気持ちになるところが…好きです。
たびたび佐藤優さんと共著を出しているところもポイント高い。佐藤優さんは元・外交官でロシアというか東欧の専門家で、いまは文筆業メインと思いますが、キリスト教を信仰されているとされていて神学修士をお持ちで、キリスト教に関する解説書もたくさん書かれている一方でここのところ創価学会とも距離が近く、私はこのことを、彼は日本人がどうも避けがちな"宗教"ネタをつぶさに日本語で日本人に対して解説することをライフワークとしているのかしらん、などと勝手に思っています。池上さんもたびたび宗教と選挙の関係を解説し、選挙のたびに宗教系とされる政党に激しく切り込んでうわーてなりますが、二人の共通点って宗教をタブー視しないで前面から扱って誤解や偏見、差別のない社会を目指しているのかなあという気は致します。
宗教をフラットな目で見つめるためには世界史の理解が不可欠で、特に宗教が悲しい戦争やテロの火種となっているいまを冷静に見るためにはイスラエル成立後の現代史の理解も大切。
世界史の授業1年間受けて、年間コマ数の時間切れで現代史が全部無かったことにされた理系ちゃんの私(=日本史を履修していない)は、世界史、近現代史、宗教、というのは正に弁慶の泣き所のようなもので、ヨロパに暮らすとそのあたり現地人は普通にわかっている前提で話してきたりするし、「バカだと思われたくない…!」という動機でいろいろ捗ってしまう見栄っ張りのう つ んさんとしては世界史の勉強待ったなし…!となりますね。
記録によれば15年11月末あたり(欧州に引っ越した直後)にこの本を購入した私…単純!!(だがそれが悪くない)しばらく前に読んだのでディテールは忘れましたが、以下の本もおすすめしておきます、、、
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欧州ビジネスパーソンが求められている教養?!
欧州でリーマンとしてうごうご生活していると、とくにエグゼクティブとの飲みなどでは教養の高い話題が不可欠となります。「日本発のbuzzネタでPPAPというのがあってね〜」とかそういうのは要りません。
昨年2016年は、欧州テロ、Brexit、トランプの当選などなど、中々にハイソサエティな話題が目白押しでした。最低限の知識を持った上で自分の意見も持っていないとなかなかしんどい。教養がないと大変です。尻が浮きます。忍法「教養が要りそう場面で突然理系ぶる」の術は理系ギークならば誰もが使えると言われていますが、私の場合そうはいいながら「バカと思われたくない…!」という見栄も同時に発動するわけですからもう大変。簡単そうな入門書に手を出してドーピングです。
ということで、今年は読書しちゃうもんね〜〜堂々とドーピングしちゃうもんね〜〜〜と思ってポチったのが池上さんの以下の書籍です。
この本は本当に私のような手っ取り早いドーピングを志向するものにピッタリでありまして、世界に大きな影響を与えたことが想像に難くない以下の10冊の要旨を述べた上で平易に解説してくれるという優しさの本です。
- アンネの日記(アンネ・フランク)
- 聖書
- コーラン
- プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(マックス・ウェーバー)
- 資本論(カール・マルクス)
- イスラーム原理主義の「道しるべ」(サイイド・クトゥプ)
- 沈黙の春(レイチェル・カーソン)
- 種の起源(チャールズ・ダーウィン)
- 雇用、利子および貨幣の一般理論(ジョン・M・ケインズ)
- 資本主義と自由(ミルトン・フリードマン)
ざっと眺めてみると、中身までは説明できなくてもタイトルや著者は見たことがあるものがほとんどですよね。ていうか私は、まともに理解しているのはアンネの日記とダーウィンの種の起源くらいのもので、聖書も新約と旧約の違いくらいしかわからないし、コーランに至ってはこれだけテロであれこれ大騒ぎなのに何も分かってないことに読んでみて初めて気づくわけです。
このラインナップは単純に池上さんがある雑誌に10回に渡って連載した企画だからということで10点なのですが、そのチョイスが絶妙で、現代史を"宗教と戦争と経済"という側面から眺めようと試みているわけです。
ひとつひとつの書物は(6を除いて)独立してまともなことを言っているけれども、世界史における人類同士のいさかいの多くが宗教の違い、経済の違い(または格差)によって発生している。両論並立できない場面がとても多い。しかし、(かたち上はもう終わった冷戦も含め)その並立できない事情、いさかいの事情を理解するためには、ただ「戦争なんてやめなよ」「人殺しなんて」「核兵器の開発なんて」と思うだけではなく、それぞれの事情や行動の動機、原典に立ち返るべし…と思うのです。
実際、私も原著を読むかどうかは別として…w 原著の解説をもっと深く知りたいと思うものがたくさんありました。特に、マルクスの資本論や、ケインズ理論などの経済のさわりの部分は、自身が腐ってもビジネスパーソン笑または金ころがしならば、いまいちど理解をして世界をしっかり世界の単位で見られるようになりたいものだと思います。
また、日本人からしたらどうも不気味で謎の存在であるイスラム教。コーランの中身やイスラム法の運用についてなどは、あくまでこの池上さんの本は入門であまり深く述べられていませんから、別の本でしっかり学んだほうがいいのかも。いや〜イスラム教が、ユダヤ教やキリスト教が引いている旧約聖書、新約聖書を啓典としてはしないものの同じ源流に持っているなんて知らないよね!ムハンマドがいきなりアッラー(神)から色々言われたからそれを広く伝えただけだと思ってたよ。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が引いている神は同一の存在なんだって…は〜ぐぅ教養。
イエスが神からいろいろ聞いたのが西暦20〜30年で、ムハンマドが神から色々聞いたのが西暦610年頃ですが、実はイスラム教においてはイエスもムハンマドと同じく預言者とみなされているそうです(ちなみにモーゼも)。間違ってもイエスはイスラム教においては"神の子"ではないんですけどね。アッラーは一人だけですから。イスラム原理主義は異教徒を異分子とみなし、排除して理想のイスラム国家をつくりたいと思っているけれども、実はキリスト教もイスラム教もおそらくは存在した同じ人を源流に持っている…面白いはなしです。
ということで、本日は教養ドーピングについてお話させていただきました。ふぅ
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