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坂本真綾 LIVE TOUR 2012 ミツバチ 11/20 大宮ソニックシティ

music

シングルコレクション+ミツバチを引っさげてのツアー。
アルバム自体はシングルとカップリングと外販のレア曲と新曲を集めたベストアルバム的な物。すでにアルバムに収録されている曲もあるし、「新譜を聴くー!」という体のライブではない。どちらかというとシングル曲だし、ライブですでに定番化しているのもあるし、やり慣れている曲のほうが多いくらい?
バンドはROUND TABLE 北川勝利さん(タンバリンソロ、ダンス)(!)をバンマスとして、Gu.奥田健介(NONA REEVES)、Ba.千ヶ崎学、Pf.扇谷研人、Dr.佐野康夫、マニュピ.毛利泰士、Pa.松本智也、Cho.ハルナとKAZCO、というメンバー。近年の坂本さんはバンマスとして河野伸さんと北川勝利さんを交互に指名している形。You can’t catch me ツアーを回ったこのメンバーが私は大変お気に入りです。ギターの2名はさることながら、従来知らなかった扇谷さんのピアノと千ヶ崎さんのベースがとても良い。まあぶっちゃけると、菅野よう子曲の表現が自分の解釈にすごく合っていてテンションが上がるのです。

以下、ネタバレふくめ続きます。


セットリスト

1.トライアングラー
2.DOWN TOWN
3.スピカ
4.雨が降る
5.おかえりなさい
6.モアザンワーズ
7.プラリネ
8.シマシマ
9.パイロット
10.さいごの果実
11.バイク
12.Buddy
13.action!
14.Private Sky
15.Get No Satisfaction!
16.マジックナンバー
17.風待ちジェット
18.猫背
19.ループ
20.ポケットを空にして
21.Something Little
22.約束はいらない
23.デコボコマーチ

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演出の第一ピークはモアザンワーズ。スクリーンとプロジェクターを使って白黒の線画のようなアニメーションを使い舞台の陰陽を表現してく。曲は黒に白を足していくような感じかな。舞台では、白が黒い線に塗り潰されて演者が見えなくなっていくような感じ。プロジェクターを使った映像演出は馴れてるつもりだったけど新しかった。モアザン自体の(菅野よう子の真骨頂とも言える)曲の一筋縄でいかないところとすごく合ってた。
この曲は後半でドラムがギアチェンジするところが見どころ?!と思っていて大期待してたけど演出に持って行かれた感じ…!でも実はこの曲で佐野康夫はギアチェンジしていました(とあとで気づく)

プラリネののち、「シングルコレクションのライブなので過去のシングルコレクションの曲もやります」とMCが入って、「シマシマ」へ。
うおー!この曲は「いつものバンドじゃない」ことがひとつの特徴だった曲、すなわち、録音物のドラムは佐野康夫じゃないんですね。(ベースはいつもの渡辺等だけど。ちなみにギターは元マイラバ藤井謙二マイラバマイラバ…と思って聴くとそういうギター音に聞こえてきます)うおおおお康夫様のシマシマきたー!うおー!表を4つ打ちしていくガツガツ元気なドラムに会場で体を揺らす人も増!きらきらと明るく会場があったまり…そしてパイロット、一転してミドルテンポでボーカルの上手さが目立つ曲に。ギターのうなりとアコギのアルペジオが優しい。
と…ここで私の頭の中にどきーん!と矢が!これは…このミドルテンポへの展開は…くるで…くるでバイク…!あの渡辺等ベースと佐野康夫ドラムの16ビート絡みがストイックかつ展開の盛り上がりが神がかってる至極の名曲くるで…!!

と思ったら、次の曲、さいごの果実でズコー!!(ピアノメインで歌いあげる、今回のライブでは特に録音物のアレンジと違う、きれいな音作りでした。扇谷さんの演奏ほんと大好きやで…)

しかし期待は裏切られない!!次に、やってきたのです、マジで、あの「バイク」が…!
しかも超絶に演出の山場でした。曲の間奏で真綾着替え退出&康夫様のドラムソロ、そして着替えもどって最後のフレーズを歌って、CDどおりのキメで終わり。私は坂本さんの次にドヤ顔になりましたよ…みんなこの曲が半端ねえ名曲であることにぜんぜん気づいてなかったでしょ!
坂本「あたしのバンド、うちゅーイチかっこいいでしょ!!」

みんなこの曲で康夫様かっこいいかっこいいいいますけど、本当はこの曲は「ベースがかっこいい」曲です。そして後半盛り上がっていくピアノとドラムに、単音16ビートが一転してメロディアスになるベースが絡み合っていく魅力。すなわち「ベースがかっこいい」曲です。むろんCDの演者は渡辺等。生き神です。完全に生き神です。

ニコニコに、この曲のベースを”弾いてみた”動画が上がっているのですが、この曲のベースは完全にスポーツです。なんの嫌がらせですか。編曲者は人ですか。
D

無理ゲーです。完全に無理ゲー。右手のノンストップ16ビートもやばいけど、左手のミュートが鬼。編曲者と元曲演者のどちらが頭とちくるってたのかアンケートをとりたいです。我慢して、我慢して、我慢して、3:20の「私たちってねぇ恋人それとも」の解放されたベースメロディと、緻密に重ね合わされたドラムと、甘い優しいピアノに続くわけです。それなのにボーカルの最後のキメ「地球の果てどこかにあるから遠く」のころにはもう戻ってるわけです、元のストイック16ビートに。そしてシンバルがクラッシュして終わり。

すごい表現なんですよ。暗くて、行き交う車のライトが心象に反射してて、でも空は真っ暗で、星が降っている。エンジンが刻む単調なリズム。だけど恋人の背中に胸をくっつけてるあたたかさが伝わってきて、エンジンの音と心音が重なる。それがあのベース。甘く転がるピアノは恋みたいな音で、盛り上がってくドラムはきゅんきゅんしてる胸。だけどエンジンと心音はずっと同じ16ビートを刻んでる。進んでる、生きてるって感じ。

それがあのライブステージに降りてきた。最高、ほんと最高、言葉にならないくらい最高。

私の席からベースの千ヶ崎さんは見えない。見えないから余計に、耳だけで表現を拾うから、渡辺等の録音を参照してしまう。とりこぼされるリズム。少し16ビートが崩れる。ああっ。だけど、康夫様が溢れるリズムを拾ってバイクはまっすぐに走る。やがてやってくる3:20で、千ヶ崎さんの最大の持ち味の運指、音の遷移。渡辺等のフレットレスに劣らない、階段を滑り降りるような、星が流れるようなスラー。
絶頂を迎える演出へ。「私たちってねえ恋人それとも」をCDと異なる繋がりで繰り返していき、暗転、真綾が袖に隠れ、ドラムとベースの応酬へ。真綾が戻ってくると客席は最大の賛辞で迎えるけど、舞台は再度暗転、曲がもどってきて「地球の果てどこかにあるから遠く」へ。最後に小さく、オーディエンスの予想を裏切って、シンバルのクラッシュ。

やばい。ため息でた。こんなにテンション最高に上がるのに、まだ曲ができてない!!千ヶ崎さんのベース、まだこれからじゃん!まだこれから伸びしろがあるの?!やばいじゃん!!光あれみたいに明らかに主役はるような曲じゃないのに、演出次第でぜんぶかっさらう。ていうか、ミツバチツアーなのに!旧曲で完全にかっさらう!
どうなの?!これどうなの?!ていうか、いち観客の私は、どうやってミツバチツアー終えるの?!
どんな演奏見て、どんな演奏聴いて、どんな演奏踊ったら満足できる?このさき5年10年聴けないかも知れない隠れた名曲の超絶な名演を前に、私はどうやってこの胸の高鳴りを満足させてツアーから走り去るように逃げられる?!

まーやのツアーは寒い時期が似合うと思った。身体に完全になんか注入されちゃった後は余計なこと考えられなくなるほどしばれる気温がちょうどいい。

ライブ見ると原曲への解釈がかわるってわかるでしょ?わかるでしょ?ってあの怪演みたひと全員に訊いて歩きたいけど。
私は斜めから坂本さんを見てる、本当の坂本マニアではないから、こっそり自分の場所で熱量を発散するよ。
死ぬまでにただ一度だけでいいから、よう子康夫ひとしのバイクを観たいと思ってたけど。いまはいまある炎に飛び込む。寒いからためらわず、飛び込む!

坂本真綾 - バイク - シングルコレクション+ ニコパチ
バイク - シングルコレクション+ ニコパチ