90'sを考えてみた。

自分の血肉になったと断言できる、90年代日本の音楽から、特に90年代にちゃんとリリースされているやつを挙げてみよう。順不同。


七尾旅人 - 雨に撃たえば...!disc2

90年代後半ってとにかくケイオティックで思春期で、頭の中の流れがいまより10倍くらい速くて、つねに言いたいことも書きたいこともあってせわしなかったな〜と思うとき、あの頃何でこのアルバム最高!!って思ってずっと聞き続けていたのかほんとうに不思議な1枚です。でも今聴いても普通に良いと思うからまた不思議。
曲も歌詞もアバンギャルドで、いまどきの言葉遣いしちゃえば簡単に「中2」という。七尾旅人聴いてるとかっこいいみたいな、ひねくれた音楽ファンからすると基本だった(それは今もそうかもね)。自分を飾るために聴いていたような部分もある。このアルバムが何を主張して来るってわけでもないし、指標も結論もくれない。だけどなんか好きだった。

音楽的キーワードは「安原兵衛」。その後、福原美穂のヒット曲「優しい赤」で川村結花作曲をアレンジする、という俺得な展開をしたりと、裏方稼業ではこそりチェックを続けてます、好きな仕事人です。

「コーナー」

コーナーはこのコード進行したらどんなメロでも名曲になるよね!って進行のところドドドドドドとやかましいリズムがブルドーザーしていくところが好きです。


松崎ナオ - 正直な人

正直な人
正直な人
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松崎ナオ
エピックレコードジャパン (1998-10-31)
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98年。旅人に引き続き、レーベルは違えどつくづくこのころはソニーいい仕事していたな…と思うのが、松崎ナオの1st。
渡辺善太郎プロデュースで集まったメンバーが織り成すバンドサウンド(とラッパ隊)は大胆に曲がって確実にストライクを取る。優しいサウンドは「哀しみが止まらない」、攻撃なサウンドとして「電球」。両方共シングルとして発売されてるんだから90年代凄い。これがシングルで切れることが凄い。もちろん最高に名曲。
youtubeで見つけられなかったのですが「Last flower」「白夜の音」という曲が構成が絶妙で素晴らしいのでほんと聞いてもらいたいです。後半に向けた曲の盛り上がりが型破りなのだ。



坂本真綾 - DIVE

DIVE
DIVE
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坂本真綾
flying DOG (2010-03-24)
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98年。私の中で、エスカフローネの主演して歌も出していた坂本さんが「歌手坂本さん」に変貌して一生もどってこなかった記念のアルバムであり、ここにきて初めて菅野よう子というモンスター音楽家を認識したという記念のアルバムです。
坂本さん自身もインタビューや著書で語っていると思うのですが、タイアップ一切なしの完全に「芸術作品」としての制作が行われたなかで、迷いがあり、迷いを抜ける糸口(1曲目の「I.D.」)があり、声はいまの坂本さんからしたらやはり若くてピュア、何も考えずにただ透明にうたってんなーて思う「パイロット」、脇の演奏家の腕が光る「ねこといぬ」「孤独」…そして至極の名曲「ユッカ」。言うことありませんな。
しかしこのアルバムの神がかり方に対し、渡辺等と佐野康夫こそが真の生き神であることに気づくまで約10年の歳月を擁しているわけであります。まあ、気づいたから、(・∀・)イイ!!


川本真琴 - 川本真琴

川本真琴
川本真琴
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川本真琴
ソニーレコード (1997-06-25)
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言わずもがな90年代一世風靡した川本真琴の1st。ちなみにこれもソニー。岡村ちゃんがデビュー曲をプロデュースしたこともありロック畑の人にもよく知られることになったんだと思うけど、クレジットに岡村靖幸と明記されていない曲たちにも確固とてスジの通ったロックの芯が通っている。彼女自身の力だったのか、取り巻きの力だったのかはいまとなってはわからないけど、2001年AXで立ち会った、フルート片手に振り回しながら歌って吹いてっていう衝撃が彼女自身の熱量をガッと私に伝えてくれたんだな。こういうロックは多少のアバンギャルド、ストレンジ性を持っているとしても、ロジック的にはやりやすい味付けと思うのだが、その後彼女のフォロワーな音楽を堂々と売ってくれる人がいなくて自分の趣味が異端児なのか、それともやっぱり彼女が異端児だったのか、とにかく残念なのである。10代の粋の良い女の子にあからさまにパクって欲しい、この手の女子ロックに飢えている。
ちなみに2枚目のアルバムの「gobbledygook」も中々ぶっ飛んでてかっこいいです。七尾旅人とも共作してるんだよね(ブロッサム)。
アフィカスリンクをつくろうとして初めて気づいたのですが、貼った動画の2001年ツアーが今度BDで発売されるそうです。これは買いだな…!わしが18歳の時にAXに行って観たってことになる。胸熱な思い出のひとつである。一人で行ったのかなああんまり覚えてないや。


King Size Bedroom TOUR [Blu-ray]
Sony Music Direct (2012-12-19)
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そして、

My Little Lover - evergreen

95年。あえて語るまでもなくめちゃくちゃ売れたし、整ってるし好きなアルバムです。マイラバのアルバムはわりかしドヤ顔で実験いろいろしてくれた感じがするけど、これは比較的正統派かなあ?全体的にブラスを多用していたのが、当時全盛期だった小室サウンドと対比しても、バンドブームと対比しても新鮮だった気がします。まぁその後武史もあんまりブラス使わなくなってピコピコしてくるんですけど…作品全体の陰陽のつけ方も教科書通りで気持ちいいですよね。捨て曲前提の箸休めたる「めぐり逢う世界」や「暮れゆく街で」が一切捨て曲になってなかったり、「Delicacy」のキューポップぶりがミリオンヒットの「Hello, again」を喰ってるところも素晴らしいです。DelicacyってしばらくカウントダウンTVの提供バックに使われてましたよね、さりげなく間奏が…懐かしいのう
evergreenもある層にとっては言わずもがなの神曲であり揺ぎ無いのですが、00年代に入ってからだと思うんですけど小林武史が抜ける前にマイラバのライブに行ったことがあって、そこでevergreenの演奏を観たのですよ。そこで最後のコーラスの「らいらいお(^ω^)」の男声が初めて武史のものであることを知ったわけです。や、知らんよ、CDは違うかもしれんけど、まああれを本気で腹から歌ってる武史を観たわけですよ。
私は一生付いていくと思った、このおっさんに。照れ屋のくせにめっちゃ出たがり。この曲はただ武史が歌いたかっただけのソロ。


↑しかもこの動画97年…akkoと武史が結婚して比較的すぐで、武史痩せててめっちゃ若くてガクブルしました…w あたしただのおっさんのほうがいい。


さて、ここまでTKなし。

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松崎ナオ - 白夜の音 (見つけた)